スリットステータ法

caption,スリットステータ

【概要】

 スリットステータ法は,本研究室で提案されたモータ(特に固定子)の設計手法の1つであり,固定子鉄心にスリット状のフラックスバリアを配置するというものです.この手法により,入力電流当たりに発生するトルクの増大と,磁界の変化に起因して発生する鉄心および磁石における損失の低減を,同時に実現することができます.これまでに,12スロット10極構成の分数スロット集中巻モータにおいて,スリットの配置の仕方,スリット幅の決定方法を理論的に確立しています.右図は,12スロット10極構成の分数スロット集中巻モータにスリットステータ法を適用した場合の例(スリットステータモータ)を示しています.


【関連発表・文献】

  • 崎間 修平, 横井 裕一, 樋口 剛, スリットステータモータとその特性解析, 平成28年電気学会全国大会, 5-019, Vol.5, pp.33-34, 東北大学 川内北キャンパス, 2016年3月18日.
  • 横井 裕一, 樋口 剛, スリットステータモータ, 第28回「電磁力関連のダイナミクス」シンポジウム, 20A4-6, 慶應義塾大学 日吉キャンパス, 2016年5月20日.
  • Y. Yokoi and T. Higuchi, Design analysis of slit stator motors, Proceedings of the 19th International Conference on Electrical Machines and Systems (ICEMS 2016), Chiba, Japan, November 13-16, 2016. (IEEE Xplore)
  • 橋爪 隆太, 横井 裕一, 樋口 剛, スリットステータモータのトルク特性に関する実験的検討, 平成29年電気学会産業応用部門大会, Y-88, 函館アリーナ, 2017年8月30日.
  • 橋爪 隆太, 横井 裕一, 樋口 剛, スリットステータモータの空間高調波による鉄損に関する一検討, 平成30年電気学会産業応用部門大会, Y-123, 横浜国立大学, 2018年8月28日.
  • R. Hashizume, Y. Yokoi, and T. Higuchi A study on iron loss decomposition with respect to space harmonics in a slit stator motor, Proceedings of the 21st International Conference on Electrical Machines and Systems (ICEMS 2018), October 7-10, 2018.
  • Y. Yokoi and T. Higuchi, Stator slitting of 12-slot 10-pole concentrated winding motors, IEEE Transactions on Industry Applications, Vol.54, No.5, pp.4377-4385, September/October 2018. (IEEE Xplore, NAOSITE)
  • Y. Yokoi and T. Higuchi, A numerical study on core losses of a slit stator motor based on space harmonics, 電気学会回転機研究会, RM-18-111, かごしま県民交流センター, 2018年11月7日.
  • Y. Yokoi, R. Hashizume, and T. Higuchi, Design of slit width to improve space harmonic distribution in a slit stator motor, IET Electric Power Applications, Vol.13, No.8, pp.1125-1130, August 2019. (IET Digital Library, IEEE Xplore,NAOSITE)
  • 池田 雄太郎, 横井 裕一, 樋口 剛, ブリッジを設けたスリットステータモータに関する一検討, 2019年電気学会産業応用部門大会, Y-107, 長崎大学, 2019年8月20日.
  • Y. Ikeda, Y. Yokoi, T. Higuchi, A study on air-gap flux density distribution of bridged slit-stator motor, Proceedings of the 23rd International Conference on Electrical Machines and Systems (ICEMS 2020), Hamamatsu, Japan, November 24-27, 2020. (IEEE Xplore).
(更新:2020年12月23日)

磁気飽和による磁束可変設計法

caption,可変インダクタンス

【概要】

 速度ならびにトルクに関して広い動作範囲が求められる回転機応用(例えば,電気自動車の駆動用モータ,風力発電システムの発電機)において,界磁に用いる磁石磁束を動作点に応じて調整可能な「可変磁束」という設計指針が注目されています.モータにおいて,界磁磁束が大きければ,小さな入力電流で大きなトルクを発生させます.界磁磁束が小さければ,小さな入力電圧で高速回転を実現します.また同時に,動作点に応じた界磁磁束は,運転効率を向上させます.この可変磁束は,一般的に,能動的な制御によって実現されています.これに対して,能動的な制御なしに,受動的に,可変磁束を実現する「可変漏れ磁束(Limsuwan, Kato, Akatsu, & Lorenz, IEEE Trans, Ind. Appl., 50(2), 1015-1024, 2014.)」という設計方法が提案され,注目されています.これは,動作点に応じて制御する入力電流に伴い,発生する回転子鉄心中の磁気飽和を活用して,有効な磁石磁束を調整して可変磁束を実現します.これにより,能動的な制御による損失や,それに必要な制御系あるいは機構等を削減できます.これに習い,本研究室では,分数スロット集中巻モータにおいては,固定子鉄心中に磁気飽和を誘導することにより,有効な磁石磁束を調整することができることを確認し,その設計法を提案しています.


【関連発表・文献】

  • 横井 裕一, 山田 大門, 樋口 剛, 可変漏れ磁束モータの界磁磁束に対する非線形磁気特性の影響に関する一検討, 電気学会回転機研究会 RM-17-139, ポートメッセ名古屋 (名古屋市国際展示場), 2017年11月16日.
  • 山田 大門, 横井 裕一, 樋口 剛, 磁気飽和を活用した集中巻構成可変速モータの一検討, 電気学会回転機研究会 RM-18-113, かごしま県民交流センター, 2018年11月7日.
  • 横井 裕一, 樋口 剛, 鉄心材料の特性を考慮した集中巻モータの設計, 電気学会 全国大会 S20-3, 北海道科学大学, 2019年03月14日.
  • 山田 大門, 荒木 遼太, 横井 裕一, 樋口 剛, 磁気飽和を活用した集中巻構成可変磁束モータの実験的検討, 2019年電気学会産業応用部門大会 Y-108, 長崎大学, 2019年8月20日.
(更新:2020年08月31日)

半波整流励磁方式と可変界磁応用

【概要】

 半波整流励磁方式は,野中氏が考案した励磁方式(例えば,野中, 自励型三相同期電動機, 特許第272321号, 1958年出願.)に由来します.考案された当時は,高磁力磁石がなかったため,ブラシレス同期モータを実現する画期的な励磁方式でした.励磁とは界磁電流を供給することです.この励磁方式はブラシとスリップリングを介さないブラシレス構成で実現できるため,回転に伴い生じるブラシとスリップリングの摩耗を考慮する必要がありません.その原理は,固定子の励磁巻線と回転子の界磁巻線をそれぞれトランスの1次巻線と2次巻線に見立て,励磁電流により界磁巻線に起電力を誘導し,界磁巻線にダイオードを挿入することで発生する界磁電流の流れを抑制して一定の界磁磁束を発生させるというものです.その後登場した高磁力磁石に取って代わられましたが,速度ならびにトルクに関して広い動作範囲が求められる回転機応用(例えば,電気自動車の駆動用モータ,風力発電システムの発電機)において,界磁磁束(界磁電流)を動作点に応じて調整可能な「可変界磁」という設計指針が注目される中で,この励磁方式の価値が見直されています.考案者である野中氏の流れを汲む本研究室では,旧小山,樋口研究室の時代から継続してこの励磁方式を研究しています.現在は,主に電気自動車駆動用モータと風力発電システムの発電機への応用を目指しています.特に,電気自動車駆動用モータの応用においては,本コースの阿部研究室と浜崎・大道研究室と共同で研究開発を進めています.


【関連発表・文献(2011年04月以降)】

  • 崎村 和紀, 樋口 剛, 横井 裕一, 阿部 貴志, 半波整流ブラシなし同期発電機の原理と基礎特性, 平成24年電気学会産業応用部門大会 Y-87, 千葉工業大学 津田沼キャンパス, 2012年8月.
  • 崎村 和紀, 樋口 剛, 阿部 貴志, 横井 裕一, 半波整流ブラシなし同期発電機について, 平成24年度電気関係九州支部連合大会 04-2A-03, 長崎大学 文教キャンパス, 2012年9月.
  • 平川 勇輝, 崎村 和紀, 樋口 剛, 横井 裕一, 阿部 貴志, 半波整流ブラシなし同期発電機の負荷特性, 平成25年電気学会産業応用部門大会 Y-94, 山口大学 吉田キャンパス, 2013年8月.
  • T. Higuchi and Y. Yokoi, Novel synchronous generator for wind power generation, 2013 International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications, Santa Fe, USA, September 8-11, 2013.
  • K. Sakimura, T. Higuchi, Y. Yokoi, and T. Abe, Principle and characteristic analysis of a half-wave rectified brushless synchronous generator, International Conference on Electrical Machines and Systems, Busan, Korea, October 26-29, 2013. (IEEE Xplore)
  • Y. Hirakawa, T. Higuchi, Y. Yokoi, and T. Abe, Characteristics of a half-wave rectified brushless synchronous generator, International Power Electronics Conference -ECCE ASIA-, Hiroshima, Japan, May 18-21, 2014. (IEEE Xplore)
  • T. Higuchi, Y. Yokoi, and T. Abe, Experimental characteristics of a novel synchronous generator for wind power generation, The 37th International Telecommunications Energy Conference (INTELEC 2015), Osaka, Japan, October 18-22, 2015. (IEEE Xplore)
  • 秋吉 亮治, 樋口 剛, 横井 裕一, 風力発電用半波整流ブラシなし同期発電機における出力一定制御について, 平成29年電気学会産業応用部門大会 Y-86, 函館アリーナ, 2017年8月30日.
  • 秋吉 亮治, 横井 裕一, 樋口 剛, 半波整流可変界磁発電機の励磁電流による最大電力点追従に関する基礎実験, 電気学会 回転機研究会 RM-17-117, ポートメッセ名古屋 (名古屋市国際展示場), 2017年11月15日.
  • 秋吉 亮治, 京 慎平, 樋口 剛, 横井 裕一, 半波整流可変界磁発電機の励磁電流による最大電力点追従制御に関する検討, 平成30年電気学会産業応用部門大会 Y-117, 横浜国立大学, 2018年8月28日.
  • 京 慎平, 光野 雄飛, 横井 裕一, 樋口 剛, 半波整流可変界磁発電機の最大電力点推定法に関する実験的検討, 2019年電気学会産業応用部門大会 Y-98, 長崎大学, 2019年8月20日.
  • 京 慎平, 横井 裕一, 樋口 剛, 半波整流可変界磁発電機の瞬時推定法を用いた最大電力点追従制御に関する検討, 電気学会回転機研究会 RM-19-126, 北見経済センター, 2019年10月16日.
  • 前田 広大, 横井 裕一, 樋口 剛, 半波整流可変界磁モータの励磁電流波形に関する検討, 2020年度電気・情報関係学会九州支部連合大会 01-2P-04, オンライン(九州産業大学), 2020年9月27日.
(更新:2021年03月09日)


回転振子型波力発電

 太陽光や風力による発電が注目されている中,長崎大学では地域とともに海洋エネルギーの研究開発に力を入れています.この研究では,新しい海洋エネルギー利用の1つとして回転振子型波力発電方式を提案し,実用化に向けて研究開発を行っています.この方式は,「カチカチクラッカー」と呼ばれるおもちゃの機構を応用して,波の上下方向の運動を振子の回転運動に変換し,振子に取り付けた発電機をまわすことで,電気を生み出すというものです.単純な機構ですが,その運動は非常に複雑です.発電量を最大にする電気系ならではの研究課題だけでなく,振子の運動の把握や制御という機械系の研究課題に対しても取り組んでいます.

(2016年06月20日)



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Last-modified: 2021-03-09 (火) 10:21:52 (627d)